Google が CPU 開発に乗り出す可能性

なんの裏付けもない、まったくの個人的な妄想だけど、Google はそう遠くない未来に、CPU 開発に乗り出すという予想をしてみる。いやいや汎用品を使うからこその Google なんだと言われるだろうけど、それなりに根拠はある。

  • Google にとっては、CPU の単体性能よりも電力あたりの性能 (もっといえばデータセンターあたりの全体性能) のほうが重要。たとえば、性能は Intel CPU の半分しかないけど消費電力が 1/10 であるような CPU を 10 個使えば、(単純計算だけど) 同じ消費電力で 5 倍の性能が手に入る。
  • オープンソースにより、バイナリ互換性の重要性が下がってる。特にサーバサイドなら Windows が動かなくて構わないので、x86 である必要性が少ない。
  • 言語やコンパイラVM を作れるエンジニアが自社にたくさんいる。ChromeJIT を搭載しているし、オールスターなみの面子による Go 言語のニュースも記憶に新しい。CPU が変わってもうまくやれそう。
  • 今は元 Sun のエンジニアが数多く流出している。SPARCNiagara の設計をやっていたエンジニアや、あるいは Java VM を作ってた人が Google に入る可能性は十分高い。
  • すでにイーサネットスイッチは自社開発しているらしいし、ルータも自社で開発中と言われている。必要とあらば CPU を開発したっておかしくない。
  • 既存の CPU が、Google が必要としている命令を備えてない可能性がある。たとえば「検索アルゴリズム向けの命令」があると検索が非常に高速化できることがわかったとすると、独自 CPU を開発する動機になる。
  • Google が購入する CPU の数は非常に多く、しかも今後も増え続けることが予想される。Intel に払っている金額もものすごいはずなので、ここを削減する方法は考えているはず。
  • Google が CPU 開発に乗り出した』というニュースや噂がでれば、Intel の株価に影響が出るのは避けられない。ということは、そういう話を示唆するだけで、GoogleIntel との価格交渉を有利に勧められる。つまり、開発に本気じゃなくても、ブラフだけでも Google には有利な材料になる。
  • Apple が独自 CPU に走った。iPhoneiPad の市場規模でも独自 CPU の開発コストがペイするなら、Google の規模でも十分ペイする可能性は高い。

問題は、どこまで本気で乗り出すか、という点かなと思ってる。あと特許も。


・・・と思っていたら、こんなニュースが。

この記事によると、Intelは既存のCPUを新たなものに作り直すために、今年の第2四半期の終わりごろに研究者たちに対して48コアのCPUを実験的に出荷する予定だそうです。

48コアモデルのCPUは主に学術機関などに対して送付される予定となっており、Intelの研究所に勤務するSean Koehl氏によると、このCPUは研究プロジェクトの一環であるため、商用に展開できない可能性があるものの、採用されている機能に関しては、将来登場するであろう新たなCPUにも搭載されるだろうと述べています。

なお、このCPUが開発された背景や動作速度ですが、自動車やサーバーまで、あらゆるデバイスにおける計算速度を高めるために、1つのCPUにさらに多くのコアを導入する研究の一環で開発されたもので、動作クロック数については、1.66GHzないし1.83GHzで動作する新型Atomプロセッサと同等になるとのこと。

ついにIntelが「48コアのCPU」をサンプル出荷へ、最小消費電力は25ワット - GIGAZINE

性能が低いけど極めて低消費電力なコアを多数集めたもの・・・まさに Google 向けじゃん。値段次第では Google が大口のお客さんになるかもね。

より詳しい記事はこちら。

 米Intelは2日(現地時間)、Intel Architecture(IA)ベースのコアを48個集積した研究用のプロセッサ「シングルチップ・クラウド・コンピューター(SCC)」を開発した。

 今回の試作では、P54C(Pentium)ベースのコア48個を、2Dメッシュのネットワークで構築した。2つのコアを1つの“タイル”としてみなし、2つのL2キャッシュと共通のメッセージバッファ/ルータを持つ。そして4つの“タイル”を1つの“島”として扱い、各々の島の電力や動作クロックをコントロールできる。さらに、この“島”を6つ組み合わせることで、48コアを実現した。

 タイル間は、独自の高速ネットワークで構築され、256GB/secの転送速度と、低レイテンシで接続されるのが特徴とされる。Intelでは、クラウドデータセンターに非常に似たマルチプロセッサの構成を、この1チップで実現できるようになったため、SCCと名付けたという。

Intel、48コアのIAプロセッサを開発 - PC Watch