映画感想: ハゲタカ

まわりがエヴァの感想ばかりだというのに、先週末にあえて「ハゲタカ」を見に行って、それがとても面白かったのでその感想を書いてみる。


ドラマも原作も見てないけど、非常に楽しめた。主人公の経歴とか知らない状態だったのでちょっと不安だったけど、まったくの杞憂だった。ただ、経済関連の専門用語(TOBとかホワイトナイトとか)がたくさん出てくるので、それらにまったくなじみがないと楽しめないと思う(とはいっても、新聞読んだりワールドビジネスサテライト見てたら問題ないはず)。

大まかなあらすじは、中国政府がカネにモノをいわせて日本企業を買収しようとし、それを主人公が阻止しようとするお話。主人公は、いったんは敗れ去るんだけど、あっと驚く方法で逆転勝ちにもっていく。

ちなみに超映画批評では70点でオススメされていた


以下ネタバレちょっとだけあり。



  • やっぱり役者がうまいっていいよね。特に、買収される日本企業(アカマ自動車)の社長さんの演技が光っていた。最初は華々しい登場をしておきながら、状況が苦しくなると怒号をあげたり、悔し涙を流したり、いい仕事してた。感情の発露という点では、派遣工の若い人の演技もよかった。
  • 主人公のライバルとなる中国人(劉一華(リュウ・イーファ))も、まだ若いのにいい演技だった。日本の若い役者ってヘタクソばかりだと思ってたけど、なかなかどうして。結局こいつの正体が不明なまま死んじゃったんだけど、その説明がなかったような気がする。中国では一人っ子政策のせいで、第一子以外は戸籍に登録できないみたいなことがあるらしいから、きっとそういう事情で戸籍に登録されなかった子供なのだろう。正式な名前すらなかったのかも知れない。
  • 元ITベンチャー社長の役割がよくわかんなかった。ここだけが、ドラマを見てないと理解できないところだった。あとこいつの演技がヘタクソすぎて興ざめした(ジャニタレじゃないよね?)。ほかの役者がみんなうまかっただけに、なんでこんなやつを使ったのか理解に苦しむ。
  • 最後のほうで柴田恭平が、日本のものづくりの素晴らしさを語るんだけど、ここはなんか違和感があった。それまでほとんどカネの話しかなかったのに、唐突にものづくりがどうのこうのと言われてもね。どうせなら、工場にいる職人のおっちゃんを登場させて、その人たちがいかに努力をしてものをつくりあげているかという描写が欲しかった。そうすれば柴田恭平のセリフも説得力あったのに。
  • もうひとつ不満点を。結局、この日本企業の問題点ってなにも解決されなかったよねー。なんか社長だけが責任負わされてクビになったけど、ほんとは取締役と重役も全員解任されるべきじゃね? この会社の問題点は会社上層部が無能なことなんだから、そいつらを全部排除しないと何も変わらないじゃん。首相をすげ替えたところで与党が何も変わらなければ政治だって変わんないでしょ? それと同じだよ。映画の中ではトカゲの尻尾切りをしただけで、上層部の本質的な改革がなされてなかったのが残念。
  • 疑問点をひとつ。いくら証券会社の経営が苦しくて中身がボロボロだからといって、そんなに簡単に破産させることが可能なのだろうか。これがホントなら、今ならたとえばソフトバンクなんか簡単に破綻させられそうな気がする。


感想のまとめとしては、ぜひシリーズ化してほしい。シリーズ化してほしいんだけど、ライバルが死んじゃったからねー。あれ殺す必要あったのかな。殺さないでおいたら、シリーズ化したときに登場できたのに。時には敵として、またある時には味方として。残念です。