Ruby on Rails のほんとうにすごいところ
Ruby on Rails も一時の手放し絶賛状態が冷めてきて、いいところと悪いところを冷静に指摘する人が増えてきたように思う。個人的には、Rails の view layer まわりがあんまり好きじゃないし、performance の悪さは許容範囲を超えていると思うので、Ruby の他の framework も頑張ってほしい*1。
個人的に Ruby on Rails でいちばんすごいと思ったのは、Java や Struts を打ち負かしたことだ。この点だけは本当に偉大な業績だと思うし、他にどんな優れた framework が登場してもこの業績を超えることはないだろう。
Ruby on Rails が登場するまえは、Java と Struts の絶頂期であった。EJB などに対する批判はあったものの、業界の中心であったことは間違いない。まさに「Java の天下」といえる状況で、Java が衰退する姿は考えられなかったし、衰退するとしても 10 年先のことだと思われた。当時の Java 屋の驕りっぷりは、ちょうど Internet 登場前の Microsoft、PS2 時代の SCE、一昔前の小室哲哉、といえばわかるだろうか。Java に対する批判を書けば、たちまち反撃にあって叩かれるような状況だった。Perl と PHP は現場で使われていたものの、Ruby なんて一部のマニアしか使ってなくて、Ruby で業務システムを作るといったら鼻で笑われるような時代だった。
それを Ruby on Rails は変えてしまった。あれだけ勢力を誇っていた Java と Struts が、時代遅れと見なされるようになったのだ。Microsoft の C# では変えられなかった。一時期、有力と思われた Zope でもだめだった。それを Rails はやってのけた。正直いって、今でも信じられない。
今は Merb や Ramaze や Waves といった、Ruby on Rails 以外の選択肢も充実してきた。それらは Rails よりもいい性能で、Rails よりも使いやすいかもしれない。しかし、かりにそれらが Rails より広まったとしても、それは結局 Rails が作ったあとの道を進んでいるにすぎない。性能や機能がよいだけでは、世界を変えることはできない。世界を変えたという事実こそが、Ruby on Rails の、技術的な優劣だけでは測れない最大の業績だと思う。